こんにちは、はるです。
IT業界に絞って就活をしていると、「SIer」「SES」といった言葉が出てくるかと思います。
私も当時は違いを理解できませんでしたが、就活を終えてIT業界の理解が深まってきたので記事にしました。
本記事ではSIerとSESの特徴を解説し、それぞれの違いも解説していきます。
メリットデメリット、就職先の探し方、向き不向きなども解説しているため、本記事を読み終えると自分はどちらがよいのかが分かります!
筆者の信頼性
- IT企業から内定を2つ頂く
- 30社以上のIT企業の会社説明会に参加
- 23卒でSESに入社予定
SIerとは?特徴まとめ
SIerは「エスアイヤー」と言い、依頼を受けてシステム開発案件を請け負う企業のことです。
依頼主から開発案件をまるっと請け負うのが特徴で、システム開発の全て「要件定義(企画)、設計、開発、テスト、運用」に関わることができます。
わかりやすく言うと、お客さんから「IT全く分からない。SIerさん〇〇作って欲しいから頼むわ!」という依頼に対して、「分かりました、作りますね」とITの業務を代わりに行う会社ですね。
ただし、会社の規模や商流によって仕事内容が異なります。
大手SIerは上流工程のどういう開発物を作るか、必要な機能は何かなどを考える部分(要件定義・設計)を担当し、中小SIerは開発、テスト、運用することが多いです。
商流は1次請け、2次請け…と、ピラミッド構造になっているので、下に行けば行くほど利益が下がりブラックになりやすいので気をつけましょう。
また、SIerには種類が5つあります。
- メーカー系
- ユーザー系
- 独立系
- コンサル系
- 外資系
詳細は、「SIerの種類を解説(準備中)」の記事をどうぞ。
SESとは?特徴まとめ
SES(エスイーエス)は、人手が足りない開発現場に、エンジニアの労働力を提供するビジネスを行っている企業のことです。
そのため、自社で開発をすることはなく、お客さん先で作業(客先常駐)します。イメージとしては、派遣のような働き方です。
仕事内容は下流工程の開発やテストが多いため、商流の深い会社であれば、給与や待遇はかなり悪いです。
また、人材を送れば送るほど儲かる仕組みなため、教育環境が悪かったり経歴詐称で実力以上の現場に送られたりすることが多く、SESはブラック企業が多いと言われています。
就職する際にはよく調べてから入りましょう。
【8項目で比較】SIerとSESの違い
SIerとSESの違いを以下の8項目で比較してみました。
- 商流
- 取引先
- 仕事内容
- 契約内容
- 開発の責任
- 仕事の報酬
- 給料・待遇
- 働く場所・時間
SIer | SES | |
---|---|---|
商流 | 浅い | 深い |
取引先 | 開発依頼主、大手SIer | 中小SIer、自社開発企業 |
仕事内容 | 上流工程 | 下流工程 |
契約内容 | 請負契約 | 準委任契約 |
開発の責任 | 重い | 軽い |
仕事の報酬 | 開発物を納品して受け取る | エンジニア労働力を提供した分を受け取る |
給料・待遇 | 大手はよい | 悪い |
働く場所・時間 | 自社勤務、客先常駐、多少残業あり | 客先常駐、残業少なめ |
商流
大手SIerはお客さんから直接依頼を受けるので、1次請けであり商流は浅いです。
下流工程の業務は大手SIerから下請けに回されるため、中堅SIerや大手SIerの子会社は2次請けで商流は浅め。
小規模SIerやSESは、さらに下の3次請け、4次請け、5次請け・・・となり、商流が深くなっていきます。
取引先
大手SIerや1次請けの場合、大手企業や官公庁などの開発依頼主が取引先です。
中小SIerや2次請けの場合、大手SIerが取引先になります。3次請けは2次請けの企業が取引先、4次請けは3次請け企業が取引先ですね。
SESはエンジニアの労働力を提供するビジネスモデルなため、取引先は開発会社(中小SIer、自社開発企業)です。
仕事内容
SIer
要件定義(企画)、設計、開発、テスト、運用。
大手SIerの場合、上流工程を行います。顧客のニーズを聞き出し、どのようシステム設計にするかを考える仕事です。
予算を考えたりシステムにどのような機能を付けるかなども考えます。開発やテストなど下流の仕事は下請けに流します。
中小SIerの場合、開発、テスト、運用保守がメインの仕事です。
ただ、1次請けで受注している中小SIerもあるので、上流ができる場合もあります。私が就活していた時も、プライム案件が6,7割の中小SIerがありました。
SES
中小SIerと同じく、開発、テスト、運用保守がメインの仕事です。
SESの人事の話ですが、入社して1,2年はテストを任されることが多いとのこと。
本人の実績次第でいずれ開発もできますが、完全初心者で入社するのであれば、努力しないと開発に関われないと思って良いのかなと。
基本的に下流工程の仕事なので実際にプログラムを書くことはできますが、テストや運用を行うこともあります。SES企業に入社する際は注意しましょう。
契約内容
SIerは依頼主と請負契約を結び、システム開発に関わることを全て引き受けます。
SESは開発企業と準委任契約(別名:SES契約)を結び、エンジニア労働力を提供します。
請負契約と準委任契約の違い
- 請負契約:開発した成果物を納品する
- 準委任契約:決められた時間分の労働力を提供する
開発の責任
SIerの場合、システム開発に関わることを一括して請け負うため、責任は重めです。
納期までに開発が終わらなかったりすると、発注元から賠償金を請求されることもあります。
SESの準委任契約は、エンジニアの労働時間を提供するだけで完成させる義務はないため、責任は軽いです。
仕事の報酬
SIerはシステム開発をまるまる請け負っているので、頼まれた開発物を納品したら報酬を受け取ります。
SESは人材派遣のようなものなので、「エンジニアの労働時間×エンジニアの単価×技術提供した人数」に応じて報酬を受け取ります。
給料・待遇
SIerは1次請けに近いほど、給料は高めです。
下請けに発注するときは各企業が利益を抜いて外に発注するため、2次,3次請けと下がるほど請け負った企業が受け取れる利益が減り、給料も下がります。
SESは最初から下流工程なため、2次,3次請けの案件が多く、給料は低いです。
また、開発会社から受け取った報酬から会社の利益を引くので(そういうビジネスで稼ぐ仕組み)、エンジニアに還元しない悪徳SES企業であれば給料はかなり低いでしょう。
逆に、そもそも案件の商流が深すぎて還元したくてもできないSESもあると思います。
働く場所・時間
大手SIerと1次請け案件の場合、自社勤務です。
中小SIerの場合、大手SIerに出向いて働く(客先常駐)か自社勤務の2パターンがあります。請負契約のため、完成しなければ残業あります。
SESは基本、客先常駐です。また、時間契約なので、残業になりにくいのが特徴。
しかし、準委任契約は「精算幅」と呼ばれる契約時間幅があり、だいたい週5日労働の月140〜180時間です。
依頼主が180時間ギリギリまで利用しようとすると、20時間分の残業が増えます(8時間労働×5週×約20日=160時間であるため)。
SIerとSESともに「多重下請け」に気を付けるべき
SIerとSES、どちらも共通して「多重下請け」に気を付けましょう。
多重下請け構造とは、何層にも渡って仕事を依頼していく構造のことです。
商流が深くなるほど受け取れる報酬が減ります。
給料を増やしたいのであれば、より商流の浅い企業に転職したり、独立してフリーランスになるなど行動していきましょう。
商流を気にしないIT企業で働きたいのであれば、自社開発企業(Web系企業)がおすすめです。自社開発企業の探し方は「自社開発企業を探す方法5選(準備中)」で解説していますので合わせてどうぞ。
SES(準委任契約)と派遣の違い
SESと派遣は、指揮命令を行う人が異なります。
SESは発注者から業務の依頼を受けるだけで、作業内容を指示されることはありません。
SESの責任者がメンバーや業務の管理、作業指揮を行います。派遣と比べてエンジニアの裁量が大きいです。
対して、派遣は派遣先の人から作業内容を指示されます。
SIerとSESのメリット・デメリット
大手SIer、中小SIer、SESの3つで、メリット・デメリットをまとめました。
大手SIer
- 大手に入れば安定した給料をもらえる
- 大規模開発に関われる
- プログラムを書く機会はほとんどない
- 入社して数年は単調な仕事しか任されない可能性がある
中小SIer
- 会社によっては、上流工程と下流工程が両方経験できる
- 未経験でも入りやすい
- COBOLやVBなど古いプログラミング言語を扱う案件もある
- 入社した企業が3次請け以降の場合、給料や待遇は良くない傾向がある
SES
- プログラムを書く機会が多い
- 残業は少ない傾向がある
- 給料と待遇は期待できない
- 悪徳業者が多い
SIerとSESの将来性
積極的に新しい技術を取り入れていたり、商流が浅くテストだけでなく開発や上流工程も行えたりする場合、その企業に将来性はあります。
中小SIerとSESの場合、次の項目に当てはまる企業はなるべく避けましょう。
- 古いプログラミング言語を扱う案件ばかり
- 4次請け、5次請け
- 案件を選べない
- 単純作業しかできない
とはいえ、企業のホームページを見てもヤバい会社なのか判断することは難しいです。
会社説明会や面接の時に聞くべき質問をまとめたので「【エンジニア向け】会社説明会や面接の時に聞くべき質問10選(準備中)」の記事もぜひ参考にしてください。
SIerとSESの就職先の探し方
SIerであれば、新卒求人サイト(リクナビ、マイナビなど)で探せます。
メーカー系SIer(富士通、NECなど)と、ユーザー系SIer(NTTデータ、野村総合研究所など)は有名な企業が多く倍率が高いです。
逆に聞いたこと無いような企業でも、「東証プライム市場上場」と書かれていればだいたい大手です。上場企業は日本の企業全体の0.1%以下しか無いらしいので、大手志向の方はぜひ…笑
SESは悪徳な企業が多いため、SNSで社長の投稿を見たり、wantedlyで同じ企業の求人が出すぎてないかをチェックしたり、「企業名 口コミ」で調べたりなど企業調査が必要です。
詳しい就職先の探し方は「SIerとSESの就職先の探し方を解説(準備中)」の記事で解説しています。
SIerとSESの向き不向き
SIerとSES、それぞれ向いている人をまとめました。
SIerが向いている人
- 安定志向
- 大規模な開発に関わりたい
- プログラミングを書くよりも、設計やマネジメントなど上流工程をやってみたい
SESが向いている人
- 給料や待遇よりも、やりたいこと重視
- さまざまな開発現場で、プログラミング経験を積みたい
- 社内イベントや人間関係のしがらみなど面倒なことは避けたい
ちなみに、私はやりたいことを重視したのでSESへ行きました\(^o^)/
どちらが良いのか心配な方は、エンジニア就職相談もやっているのでTwitterからお気軽にどうぞ!
SIerとSESの違い:まとめ
さいごに、SIerとSESの違いの表をもう一度載せておきます。
SIer | SES | |
---|---|---|
商流 | 浅い | 深い |
取引先 | 開発依頼主、大手SIer | 中小SIer、自社開発企業 |
仕事内容 | 上流工程 | 下流工程 |
契約内容 | 請負契約 | 準委任契約 |
開発の責任 | 重い | 軽い |
仕事の報酬 | 開発物を納品して受け取る | エンジニア労働力を提供した分を受け取る |
給料・待遇 | 大手はよい | 悪い |
働く場所・時間 | 自社勤務、客先常駐、多少残業あり | 客先常駐、残業少なめ |
SIerとSES、どちらも入社したいのであればプログラミングスキルは必須です(大手SIerなら資格)。
【プログラミング学習の始め方】初心者が独学で就職する方法も解説の記事でプログラミングの始め方を解説しているので、合わせてどうぞ!
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